著者の別作品は現在商業誌にも掲載されていますが、プロとアマの境というのは、商業誌に描いているかどうかということだけではないのだなと思います。
「天顕祭」はスサノオノミコトとヤマタノオロチ伝説の関わる近未来の祭の話。大きな戦争後の物理的な浄化を必要とする世界で、生きた人の体を通して再現されようとする“神話”。与えられた役割から逃れようとするも、大切な人を守るために決心する主人公の咲。
読み返す度にいろいろな伏線が見えてきて、話の深みが伝わってきます。最後の場面、あの涙は人であれ神であれ、強い思いは簡単に消えるものではないのだな・・・と思いました。
(レビュアー/そま)